素材へのこだわり

経木(きょうぎ)

東濃ひのきが素材の贅沢な梱包資材
最近では化学製品の容器が主流になりましたが、一昔前までは紙や経木で包むのが一般的でした。
経木は木を薄く削って紙状にしたもの。昔、お経を書くために木を正目に削ったのが名前の由来とされています。木が原料であり燃やしても環境破壊にならないことから再び見直されつつあります。

中津川市加子母の桂川荘平さんは、50年ほど前から東濃の木材を使って主に食品用の容器を作っていらっしゃいます。当時は主に駅弁用の木箱を作成し問屋におろされていましたが、大手の会社にシェアをとられたり、次第にプラスティック容器が普及し始めたりで、経営にはご苦労もありました。それでも地道に商品を開発して売り込みに出かけられたり、口コミで制作を依頼されたりで現在まで続けていらっしゃいました。最近では、健康・ナチュラルブームで木製品が見直されるようになり、各方面からの制作依頼や経木製品の注文が次第に増えています。

桂川さんの工場裏に並ぶのは市場から仕入れてきた木材。杉、松、ヒノキ、朴の木などです。ご存じのように、東濃地方は桧の一流ブランド「東濃ヒノキ」の特産地。夏冬や朝夕の温度の高低差、湿度、土の品質などが良質の樹木を育てます。ここ加子母は、周囲よりも一段と標高が高くより寒暖差が激しい地域です。周囲の山々にも立派に育った逞しい常緑樹が並んでいます。

「山の管理には管轄があり、樹木から切り出す材木は、民材(森林組合)と官材(営林署)に分かれています。官材は国の管轄であったため、歴史も古く、今でこそ少なく貴重になりましたが、樹齢が300年以上のものもあり、樹木も太く、見てもらって判るように、木目も非常に細かくて美しいものです」
見せて頂いた官材は年輪の詰まり具合が美しく、とても上品な模様です。なかなか手に入らないのが残念です。

桂川さんの経木は、用途に合わせて0.2mmの薄さぐらいから機械で突き出します。透けて見えるほどの薄さでも表面はなめらかで、厚みも均一です。経木の仕上がりの美しさはひとえに「刃」の研ぎ加減で左右されます。
「それぞれの木の性質に合わせて刃を用意しています。毎朝作業前にすべての刃を研ぎます。最初は機械で大まかに研いで、仕上げは手作業で研ぎ上げます。研ぎ方が甘いと表面がざらざらしてしまうので、集中力が必要です」

木材から突き出したばかりの経木は、まだしっとりと水分を含んでフィトンチッドが爽やかに香ります。この香りがあせないうちに持ち帰り、お酒や水、生地に香りを移して、オリジナリティあふれるお菓子を作りました。既存の梱包用品も出来れば経木に代えることができないかと現在企画中です。

樹皮には天然の殺菌効果があり通気性が良く、水分や油分を吸収するので、昔から食品を包むのに重宝されてきました。

桂川木工の桂川荘平さん

自宅横の工房で、木の切り出しから所品提案まで一人でされています。

一番薄い0.2mmは向こうが透けて見えるほど。

刃の研ぎ加減で表面の艶が左右されます。

工房の天井には突き出された経木が暖簾のように下がっています。

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