素材へのこだわり

安納芋(あんのういも)・その1

甘くしっとりと柔らかい黄金色のさつまいも。
「さつまいもはホコホコしてちょっと苦手」という方に是非一度お勧めしたい安納芋。
まるでデザートのようなその食感にさつまいもの常識が変わります。
滋養たっぷりの健康野菜
 安納芋は生芋で糖度が15度にもなるとても甘い芋。種子島に古来より伝わる「甘薯」です。特徴はベータカロチンによる鮮やかな黄金色。ビタミンC・E、カリウム、食物繊維が豊富な健康食です。そして何といってもそのとろけるような食感、一度食べたら忘れられません。
「種子島芋」と呼ばれるべきその歴史
 中国から琉球(今の沖縄)に伝わったといわれる甘薯(唐芋、琉球藷)は、その後日本に伝わるまでにしばらく時間がかかりました。当時の幕府や藩主は、甘薯を野蛮な外国人の食べる作物として嫌っていたからです。
 1698年、(元禄11年)19代島主「種子島久基」が島民の貧しい生活を救済しようと、琉球の王に懇願し一蔓の甘藷を貰い受け栽培を始めました。それが薩摩藩を通して全国に普及したため「薩摩」の名で呼ばれるようになりましたが、本当のルーツは種子島だったというわけです。「安納」の名称は、源平の戦いが収束した地という意味合いで「安らかに納まったところ」に由来していると伝えられています。
収穫量の少ない「幻の芋」
 安納芋は、琉球から伝わった状態に極めて近い原種とされていますが、収穫量の少なさと形の不ぞろいさ等が原因で市場に流通せず、長い間「幻の芋」として自家消費されてきました。近年その美味しさに脚光があたり生産が追いつかず市場には品薄で、まさに「幻」の芋となっています。この品種を別の場所で栽培しても同じような味が出ないと言われています。種子島特有の自然環境やミネラルたっぷりの土質があの独特の粘りと甘味を生み出しているのでしょう。
収穫後の熟成が肝心
 里の菓工房では複数の農家に安納芋の栽培を依頼していますが、今回おじゃましたのは、「黒砂糖」でもお世話になっている竹之内さんの畑です。安納芋は連作に弱いので、サトウキビ等の作物と交互に畑を変えて栽培されています。植え付けは3月〜6月、収穫は9月〜12月の間で行われます。安納芋は収穫したてではまだ甘味がのっていません。その家独自の方法で熟成保存して、甘味が極まったところで出荷していただきます。

もっともっとたくさん生産できないものかと、そんな気にさせるほど魅力的な安納芋ですが、ここで生産量を追求するあまり従来のように品種改良などをしてしまうと、安納芋本来の良さが失われてしまいます。毎年の旬を辛抱強く待ち、生産量の限られた貴重な安納芋で、原産種の風味を丸ごと生かしたお菓子を作ります。



熟成後に焼くと糖度は40度に。

竹之内和香さん

トラクターで芋のつるを切る。

手作業でマルチを撤去する。

芋を傷つけないよう掘りおこす。

種子島でしかおいしく育たない
安納芋。

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